弱視とは?
文字のとおり視力が弱いという意味ではありますが、一般的に言われる「学校視力に満たない」という認識とは異なります。医学的には視力の発達が障害されておきた低視力の事を言います。
もっと具体的にわかりやすく言えば裸眼の視力ではなく、何らかの要因がありメガネやコンタクトレンズを使用しても生活必要上の矯正視力が出ない状態である事を指します。
例えば
A君)裸眼視力 0.1 → 矯正視力1.0 ※弱視ではない
B君)裸眼視力 0.1 → 矯正視力0.2 ※弱視判定の可能性あり
ともに裸眼視力は0.1ですが、A君はメガネやコンタクトレンズをすれば矯正視力が1.5まで出る。そのため弱視とは判定されません。
しかしB君はメガネやコンタクトレンズで矯正しても0.2までしか視力が出ません。こうなると、何らかの要因があり単純な近視や遠視ではないという判定となり、できる限りの治療を行っても結果が変わらなければ弱視という判定になり得ます。
弱視になる原因
では、弱視になってしまう「何らかの要因」とはどのようなものなのでしょうか。複数挙げられますが、ここでは代表的なものを挙げてみます。
(1)遠視・不同視などの屈折異常
特に遠視は近くにも遠くにもピントが合いにくい目の異常です。不同視は左右の目の見え方が全く違う(医学的には2ジオプター以上の度数さがある)異常です。
子供だと目を細めて見たりするような仕草や物事に飽きっぽく落ち着きがない様子が見られますので、日常生活を通してのサインを逃さないようにします。
乳幼児健診で発覚したら、目に合った眼鏡を使用したり目薬による治療を行います。
(2)斜視
片眼の目が、物を見る為に最も大事な部分「中心窩」で物を見ていないため視力が発達しない異常です。
肉眼で見たときにわからない程度の斜視もあります。その場合、片目は見えているので発見が遅れる事も多くあります。注意が必要です。
(3)形態覚遮断
耳慣れない言葉ですが、先天性の白内障、目の腫瘍、角膜混濁(にごり)、眼瞼下垂など、生まれつき大きな病気をもっていて目の成長期に与えられるべき刺激が遮断されてしまっている事を指します。
治療としてはこれらの病気に対する適切な手術等を行い、弱視になる要因を除去します。
ただし、家庭で安易にできる眼帯による片眼遮蔽もこの原因の1つにあたります。乳幼児への眼帯は、眼科医からの指示が出たときだけと限定しましょう。メヤニが出るから、腫れているからと安易に視力の発達時期に眼帯をしてしまうと大変な事態になりかねません。
小学生になる前までに
人間の目(眼球)は身長や体重とは異なり、大抵は6歳ごろまでには大人と同じ程度に成長します。
この時までに、上述したような弱視になる要因を取り除き正常な視力が発達していないと、一生ぼんやりとした世界で生活する事になりかねません。
乳幼児健診をしっかりと受け、快適な視力で小学校に入学させてあげたいものです。物が見えにくい状態だと、勉強をしていてもお友達と遊んでいても楽しくないですものね。