シェーグレン症候群

シェーグレン症候群という病気があります。
この病気は全身の様々な分泌液が冒されて乾いてしまうという病気です。
皮膚や関節、口や鼻といった部分の分泌液に影響が出ますが、シェーグレン症候群で真っ先に症状が出ることが多い部位が、目だと言われています。
目に症状が出る場合、シェーグレン症候群を発症すると涙腺にリンパ球が染み出して炎症を起こし、慢性化すると涙の分泌が少なくなり、乾燥によって目の表面に傷ができるなどの乾燥性角結膜炎を引き起こします。
自覚症状としては、ゴロゴロする、痛みが出る、まぶしい、かすむ、疲れるなどドライアイの症状が出てきます。症状の強い人は悲しい時でも涙が出ないということもあるのです。

眼科での治療としては、涙を補充する、涙の蒸発を防ぐ、涙の分泌を促進するといったことがあげられます。シェーグレン症候群には特効薬はなく、どれも症状を緩和するといったものになります。

シェーグレン症候群の原因は自己免疫疾患と考えられています。身体の成分に対して免疫反応を起こすことによる疾患です。しかしシェーグレン症候群の原因は一つではなく、ウイルスなどの環境要因であったり、遺伝、ストレス、シェーグレン症候群の患者さんに女性の割合が高いことから女性ホルモンの低下なども原因の一つと考られています。
残念ながら今現在ではシェーグレン症候群を完治させるという特効薬はないため、それぞれの症状に合った病院を受診し、病気とうまく付き合っていくことが大切なようです。

結膜下出血の治療は、放置が基本です。

ともかく外見がとんでもなく酷く見える「結膜下出血」。他人から見れば、目から出血していて重大な病気ではないかと思われます。確かに酷い状態のようですよね。

結膜下出血しかし、この結膜下出血の治療法方は見た目とは裏腹に「放置」が基本です。これは目にできたアザのようなものなのです。手足にアザがあっても薬を塗るなんてことはありませんよね?自然に血液が吸収されるのを待つのです。

ただ、見た目があまりにも酷いので市販の点眼薬をさしてしまったなんて事をお聞きすることがあります。結膜炎が酷い状態かと思って点眼されたようですが、全く効果がないので受診されたという方もいらっしゃいます。

この場合「結膜炎かも?」というのは自己診断であり、何が原因でこんなに真っ赤なのかが判っていない状態で目薬を使うというのは大変危険なことですから、絶対にやめましょう。また、先生の診断後に薬が不要でも早く赤みをとりたいが為に充血を抑えるような市販薬を使ってしまうなんて事が無いようにお願いしますね!

コンタクトレンズの乾燥に、ジクアス点眼が効くかも!

コンタクトレンズを使用している方は、していない方よりも目の乾きを訴えることが非常に多くなります。レンズを目に装着した状態は非常に涙の層も不安定になりがちです。

乾燥症状を改善するために、コンタクトレンズをしたまま点眼できるという目薬は多々あります。市販のものだと単純に涙と同じ成分を点眼する「人工涙液」と呼ばれるもので、減少した涙を注ぎ足すものです。しかし、これは一時的に乾燥した目の表面を潤しているにすぎません。

ジクアス点眼液人工涙液を使用しても、改善がない!という場合、ちょっと違う角度から改善を試みるのに「ジクアス点眼液」が効果的かもしれません。

ジクアス点眼液は【涙の質を改善する】ことを目的とした目薬です。涙の分泌量を増やす、涙を良質なものにするという点にあります。また、コンタクトレンズ使用者の場合は目とレンズの間に涙を溜める効果があると証明された目薬です。

以前まではコンタクトレンズの上から点眼禁止とされていましたが、現在流通のものは点眼ができる処方になっています。

ご希望の方は受け付け、または院長までお申し出ください☆

うちの子だけ、どうしてメガネをずっと掛けさせるの?

学校健診で視力でひっかかった3人のお子さん達。お母様たち同士の仲も良いのか一緒に来院されることもよくあります。

子供そして仲良く?!3人のお子さんは「メガネ」による矯正の指示を先生から受けたのですが、メガネは掛けっぱなしがよいのかという質問がありました。

A君は、「黒板が見えにくいときに、メガネを掛ければ大丈夫ですよ」

B君は、「できる限り、メガネは掛けた方がいいですね」

C君は、「寝るときやお風呂に入る以外は、メガネは掛け続けてください」

という指示が出ました。

C君ママは「どうしてうちの子だけ、メガネをずっと掛けっぱなしにしないといけないのかしら?」とやはり疑問に思われたようです。

同じように学校からプリントをもらってメガネを作る指示が出たのですが、3人とも指示が違います。これは、「近視などの屈折異常の度合い」が大きく違うため3人とも違う指示になっているのです。

A君はいわば「軽度の近視」。しかし、後ろの席から黒板を見るには難しい程度の度合いなのでです。

B君はA君よりも「やや強い近視」でした。黒板は勿論、教科書とかを読むにもメガネを掛けた方が見やすいので、できる限りはメガネを掛けましょうという訳です。

そしてC君は、近視ではなく「遠視」の傾向がありました。遠視は遠くも近くも実は焦点が合っていない状態なのです。学生くらいの年齢ではピントを合わせる力が強いため、あまり不便に感じないというケースもあります。しかし、「掛け続けるようにしてください」という理由は、ピント調節力を働かせなくても物が見える状態を常につくっておきたいからなのです。

このように、度合いが違えばメガネの活用方法にも差が出てきますので、先生からもらう【個別指示】をちゃんと守ることが大切です。忘れちゃったから、他の子に聞いて終わり!では、適応にならないこともあるのです。

歳をとると、乱視が進むのは本当?

近視の進行は20歳ごろを目安に一度落ち着くという方が多いのですが、50歳を過ぎたころにまた視力低下が起こるというケースも実は多いのです。

症状はといえば、2重に見えるという事が圧倒的に多く、これは白内障などによることもありますが、歳をとると角膜(黒目)の状態の変化によりさらにこのような乱視の症状が進むことでも起こります。いわばダブルパンチです。

長年瞬きをしたりまぶたに挟まれたりして、少しずつ圧力が掛けられてきた角膜の形状が年齢とともに変化することにより症状が起こります。(それまでの乱視の状態によっては度合いが軽減されることもあります。)

特に目を細める癖がある方は、この乱視の症状を進行させる原因の1つとして挙げられています。目を細めて見てしまうのは「見えにくい」状態で物を見ているわけですから、こういった癖があるのであれば早くなおしておくにこした事はありません。

ものもらいを繰り返さないために…

ものもらいはほとんどの人が聞いたことがあるであろう有名な目の病気ですが、ものもらいには実は種類が2種類あります。

細菌感染によってできる「麦粒腫」は体調が悪く免疫力が低下している時や、汚い手で目をこすってしまった時などに感染を起こしてしまって、目が腫れてしまうものです。
もう一つのものもらい「霰粒腫」はまつげの生え際にあるマイボーム腺という部分に、脂が詰まってしまうことで起こる目の腫れのことをいいます。

ものもらいは一度完治したと思っても、繰り返してしまう人が多い病気です。
ものもらいになりやすい人には特徴があります。

*不規則な生活や寝不足、疲れやストレスなどで免疫力が弱ってしまっている人
*コンタクトレンズを正しく使用できていない人
*アイメイクをしっかり落とせていない人
*花粉症などアレルギーがある人に多い目をこすってしまう癖のある人

などが挙げられます。ものもらいを癖にしないために、バランスの良い食事と充分な睡眠をとって免疫力を高めることが大切です。
アイメイクがしっかり落とせていない人は、菌が繁殖して炎症を起こしてしまったり、メイクの落とし残りによってマイボーム腺が詰まってものもらいになってしまうなど、麦粒腫と霰粒腫両方の危険性があるので気をつけましょう。
ものもらいになってしまったら、ひどくなる前に病院でしっかり治すことが大切です。

まつ毛が刺さって痛い~。

髪の毛の生え癖ってありますが、同じようにまつ毛も人それぞれ生え方が違います。通常は目と逆の方向へ向かって生えますが、黒目や白目に当たるように目に向かってまつ毛が生えてしまう方もいらっしゃいます。

角膜傷目はとても敏感な器官なので、まつ毛1本入っただけでもゴロゴロ感が生じます。まつげそのものが目に向かって何本も生えて常に目に当たっていたら、チクチク刺さって痛いし、気になります。刺さったまつ毛は特に角膜(黒目)の部分に少しずつ傷をつけていきます。染色液で染めた部分に緑の点々が見えますが、これらはすべてまつ毛が傷つけた痕なのです。たかがまつ毛と思えるかもしれませんが、これらの傷によって異物感や見え方の違和感など様々な症状を引き起こします。

目に当たるまつ毛に関しての処置としては、眼科の先生に抜いてもらう事になりますが、また生えてくれば同じことの繰り返しです。根本的に治すには手術を選択するほかありません。

花粉は一年中飛んでいます

花粉症
花粉症というと春のイメージが強く、他の季節に鼻水や目のかゆみなどの症状を感じても花粉症だと思う人は少ないのかもしれません。

しかし…花粉は一年中飛んでいます!どの花粉にアレルギー反応を起こすかは人それぞれですが、その数が多ければ一年中花粉症に悩まされる人もいるのです。

一番アレルギーを持っている人が多いのがスギ花粉です。スギ花粉のピークは2月から4月頃で、早い人だと1月頃から症状が出始める人もいます。花粉症といえばスギを思い浮かべる人が多いように全国の花粉症の人の90パーセントがスギにアレルギーを持っていると言われています。
次に多いのがヒノキ花粉です。ヒノキ花粉のピークは3月から5月なのでスギ花粉と共にアレルギーのある人は春の長い期間花粉症に悩まされることになります。

更に秋の花粉症と言われアレルギーを持っている人も多いのが、ブタクサ花粉です。ブタクサ花粉のピークは8月の終わり頃から10月の終わり頃までなので、ちょうど今はピークが終わったところですね。
他にもイネ、シラカバ、ヨモギ、ハンノキなどの花粉があり飛散時期も様々なため、これらにアレルギーのある人はその時期ごとに対策が必要です。目のかゆみや充血などの症状がひどい人は眼科を受診するようにしてください。

白内障手術後の”見える”について。

加齢とともに進んだ白内障。手術をすれば見えるようになるよ!と耳にされることも多いと思いますが、その「見える」という意味を考えてみます。

視力年齢が進めば「遠近両用メガネ」を使う方も多いのですが、これは老化により様々な見たい距離にピントを合わせにくくなってしまうために必要となります。この機能そのものは白内障の手術では治りません。

日常生活をしていて様々な距離のものを見ますよね。例えば、

*車の運転をするようなとき、数メートル先の看板などちょっと離れた距離のもの見たりするとき(遠く)
*部屋の中で生活するときやデスク上の範囲くらいのものを見るとき(中間)
*手に持った新聞や携帯・スマホなどの画面くらいの距離のものを見るとき(近く)

といった感じです。

健康保険の適用で白内障の手術をした場合、現在では大まかにこれらの3つのうち、どこの距離にピントを合わせて見えるようにするかを決めてもらうことになります。

仮に(遠く)にピントを合わせた状態で手術を終えると、(遠く)は良く見えるようになりますが、特に(近く)は見えにくい状態が残りますので、白内障の手術後には老眼鏡が必要となるといった具合です。

いわば、どこか見たい距離を1つしか選ぶことができないのです。ほとんどの方は(中間)くらいの距離が見えるように合わせてもらって、遠近をそこそこ見えるようにしておくという方が多いようです。

また、近年では健康保険の適用でなく【全額実費】であれば眼内に遠近両用レンズや3焦点レンズなどを入れてすべての距離にピントを合わせることもできるようです。高額になりますので、先進医療保険などに加入をしていて適用になれば補助が出る場合もあります。その点に関してはご自身の加入している医療保険の内容を確認されると良いでしょう。

ヘルペス性角膜炎

ヘルペス性角膜炎という病気があります。

ヘルペス性角膜炎ヘルペスウィルスに感染することによって起こり、原因のウィルスには【単純ヘルペス】と【帯状ヘルペス】の2種類があります。感染は乳幼児期が多く、感染してもすぐには発症せずにウィルスは体内に潜伏します。

三叉神経とよばれる神経に潜伏していたウィルスが、風邪をひいたり疲れているような時、いわゆる免疫力の低下した時に活動を起こします。周囲の組織から角膜にまでウィルスが活性化して発症します。目の充血、痛み、ゴロゴロ感、まぶたの腫れなどの症状が起きます。上記の写真のようにウィルスが増殖すると潰瘍ができます。発症率そのものはあまり高いものではありませんが、重度の場合は失明にまで至る病気です。

もし、ヘルペス性角膜炎が発症してしまったら、軟膏や目薬など抗ヘルペスウィルス薬などで治療をしていくことになります。発症中は免疫力が低下しやすく他の感染症にもかかりやすくなるため注意が必要です。

アシクロビル眼軟膏という非常に効果の高い治療薬が開発されてからは、失明する確率がグッと減少傾向にはなりましたがヘルペス性角膜炎は再発しやすい病気です。一度は完治の診断を受けても、免疫力が低下すると再発する可能性が高いのです。再発を繰り返すことで、角膜に濁りが残って視力が低下したり角膜に穴があいてしまうこともあります。

生活習慣を見直して、免疫力が落ちないように気をつけることはもちろん、何か目の異常を感じた場合はすぐに眼科を受診するようにしましょう。