薬の対面販売が義務化されているのはご周知のとおりでしょう。しかし、これが覆される判決が以前ありましたね。厚生省が2009年の改正薬事法で、市販薬が3分類され、
一部の薬などを対面販売を義務化しネット販売を禁止していました。ネット販売業者がこれを裁判所に訴えたところ、判決は「改正薬事法からは対面販売を義務づける趣旨は明確に読み取れず、省令は違法で無効」という結果でした。ということは、改正薬事法って何だったの?!って話になるのではと思ってしまいます。
そもそも、薬のネット販売を禁止した理由は以下のような点からでした。
■患者さんの様態を確認の上、販売することができない。したがって、ネットでは注文を受けた商品を売るだけなので、確かに必要とされる商品を販売できたのか確認できない。
■副作用や適切な使用法を伝えられたかが確認ができない。
これらの理由で、対面販売が義務化されたのに「対面販売を明確に義務付ける趣旨がない」ってどういうことでしょう?!それに、本当に切羽詰っていたら病院にかけこみますし、近くに薬局がある地域の方は、さっと買いにいくほうが薬が配達されるのを待つよりずっと早いです。
しかしながら、 主に市販薬をネット通販される方がどのような方なのかを調べてみると
■薬局がない離島などで市販薬を入手したい
■移動手段を持たないので、買いに出かけられない
■常備薬として、安く購入して保管しておきたい
などが挙げられます。禁止されたら困ってしまったり、不便になるだけです。また、軽い症状の方が市販薬で治癒すれば医療現場の負担軽減にもつながります。確かにネット販売も、もし誤って使用してしまったら?!というリスクはありますが、全面禁止にする必要性があるかというのも疑問です。
対面販売しても、薬剤師さんから口頭で説明された内容を患者さんが理解して、覚えていないと意味がありません。患者さんがより便利な方法で入手し、正しい用法容量で薬が使用されれば問題ないことですから、何年もグレーゾーンではなく早くきちんとした取り決めがなされるとよいですね。