白内障手術後の”見える”について。

加齢とともに進んだ白内障。手術をすれば見えるようになるよ!と耳にされることも多いと思いますが、その「見える」という意味を考えてみます。

視力年齢が進めば「遠近両用メガネ」を使う方も多いのですが、これは老化により様々な見たい距離にピントを合わせにくくなってしまうために必要となります。この機能そのものは白内障の手術では治りません。

日常生活をしていて様々な距離のものを見ますよね。例えば、

*車の運転をするようなとき、数メートル先の看板などちょっと離れた距離のもの見たりするとき(遠く)
*部屋の中で生活するときやデスク上の範囲くらいのものを見るとき(中間)
*手に持った新聞や携帯・スマホなどの画面くらいの距離のものを見るとき(近く)

といった感じです。

健康保険の適用で白内障の手術をした場合、現在では大まかにこれらの3つのうち、どこの距離にピントを合わせて見えるようにするかを決めてもらうことになります。

仮に(遠く)にピントを合わせた状態で手術を終えると、(遠く)は良く見えるようになりますが、特に(近く)は見えにくい状態が残りますので、白内障の手術後には老眼鏡が必要となるといった具合です。

いわば、どこか見たい距離を1つしか選ぶことができないのです。ほとんどの方は(中間)くらいの距離が見えるように合わせてもらって、遠近をそこそこ見えるようにしておくという方が多いようです。

また、近年では健康保険の適用でなく【全額実費】であれば眼内に遠近両用レンズや3焦点レンズなどを入れてすべての距離にピントを合わせることもできるようです。高額になりますので、先進医療保険などに加入をしていて適用になれば補助が出る場合もあります。その点に関してはご自身の加入している医療保険の内容を確認されると良いでしょう。