遠近両用コンタクトの見え方についてよくお話を耳にすることがあります。「現在、遠近両用コンタクトを使用してるが、見えにくい」
もっとよく伺ってみると、次のようなときに見えにくいと感じているようです。
1)夜、もしくは暗いところで遠くも近くも見えにくい。
2)片目ずつ見ると、ぼやける。
当院に限らず、処方時に説明をさせていただいている内容ではあると思いますが、よく伝わっていなかった。聞いたけど忘れてしまったなどということもあります。
1)の原因については、瞳孔が大きく関係してきます。瞳孔はまぶしい時は「縮まり」、暗いところでは「広がり」ます。この瞳孔の動きにより、遠近両用コンタクトをしている、いないに関わらず見え方に変化が起きます。暗い所では瞳孔が広がることによって、ピントを絞る目の機能が弱くなるため事が遠くよりより近くが見えにくく感じます。また、暗い所に目が慣れる(暗順応)までに時間がかかることにも影響されます。そうしますと、夜に本を読むような時は照明の明るいところで読むことにより、見え方のストレスは改善されるはずです。
2)については、ソフトコンタクトレンズは目の真ん中に安定するものでははありますが、よくみると微妙に耳側にずれる傾向があります。
この状態で片目ずつ見ると、それぞれ「中心部の像」と「耳側にぶれた像」が残るため見えにくさを感じます。しかし、両目で見ることで耳側にずれた像より中心部の像が鮮明に見えるようになるためぼやけ感が改善されます。片目ずつでは見えにくいけれど、両目で見れば問題ないという方は遠近両用レンズの適応範囲内ですので安心なさってください。遠近両用タイプでは、片目でみるとぼやけるが両目で見たときに違和感がないといわれるのはこのためです。
こういったレンズの特性を知っておくと、なぜ見えにくいのかという事がご自身でも納得いくかと思われます。