ソフトコンタクトレンズの消毒について

一昔前までは、ソフトコンタクトレンズの消毒は「煮沸消毒」という熱処理が一般的でした。煮沸消毒システムでは、最初に外したコンタクトレンズを洗浄液をつけてこすり洗いします。しっかりたんぱく質などの汚れを落としておかないと、固着してすぐにレンズが使い物にならなくなってしまうということもあり、無意識のうちに数百回こすっていた方も多かったはずです。そのあとは、レンズをすすぎ煮沸器にかけて平均2時間程度(製品によっては30分などもありましたが)待ち、煮沸が終わったら電源コードから外して保存、といった具合に何とも面倒な工程を時間をかけて行なっていました。

現在ではこの煩雑さから開放されるかのようにコールド消毒(熱を加えない消毒方法)が世に広まり、今ではどのメーカーも煮沸消毒システムの販売を中止してしまっています。

しかしながら、煮沸消毒の消毒力の強さには定評があり、特に細菌や微生物への消毒効果には目をみはるものがありました。廃れていってしまったのは何とも寂しいものでもあります。対してコールド消毒は、このような手間と時間を極限まで省くことができますが、消毒効果を比較すると大変弱いものとなっています。コンタクトレンズで引き起こされる眼障害は、正しいレンズケアができなかったことによるものが原因として多く報告されていますから、注意していきたいところです。