昔、水道水で洗えるソフトコンタクトが存在したのは本当?

昔からソフトレンズを使っている方で、 「昔ソフトだったけど、水道水ですすいでいた!!」というレアな お話をされる患者さんがいらっしゃいます。

現在では通常、ハードコンタクトの洗浄後は水道水ですすぎますが、 ソフトコンタクトレンズのすすぎに水道水が絶対に使えないのはご周知のことと思います。これは、微生物などによる感染症が一番危険視されているためです。

では、この患者さんはハードレンズを使っていたのか?勘違いなのか?それとも水道水を使用できるソフトコンタクトが実在したのでしょうか・・?

さかのぼること十年以上。チバビジョン社から「ソフィーナ」というソフトコンタクトレンズが存在しました。(ソフィーナを薄型にしたソフィーナDXというのもありました)

この「ソフィーナ」がどのようなレンズだったかというと、水分を含まないソフトレンズというのが大きな特長でした。 (※厳密にいうと0%に限りなく近いくらいの含水率はありましたが・・)ハードレンズの異物感、そしてソフトレンズの乾燥感どちらにも耐えられない患者さんにご案内していたのは確かです。 ハードとソフトの中間的存在でした。

レンズサイズ(直径)も他のソフトレンズに比べると小さく、コロコロっとしたレンズで、ハードほどの固さや異物感はないけど、ソフトほどの柔らかさも着け心地の良さもないという感じでした。 (器用貧乏という表現がA子の中ではしっくりきた記憶があります)

さて、最初の問題に戻りますが、このソフィーナの存在こそ水道水が使えた唯一のソフトコンタクトがあったという証明です。 前述したとおり、水分を含まない(吸収しない)レンズなので水道水ですすいでも 問題ないという結論に至ります。

レンズの特長だけを考えると、「ちょっと良いレンズなのでは?」と淡い期待を抱きますが、早々に製造中止となったことを考えるとそこまでのニーズは無かったということか。 あるいは押し寄せる使い捨てレンズの需要性に耐え切れなかったのかもしれません。という訳で、残念ながら?!このソフィーナを現在入手することはできません。