レーシックに年齢は関係ある?

近視矯正手術「レーシック」は、とても手軽に受けられるものになりました。そうなってくると、いろいろと患者さんからの質問も増えてきます。最近多いのは、「レーシックして、老眼が治るの?」です。

ここで考えてみたいのは、「度数の変化が起こる」という点です。レーシックをしたときは良くても、数年で度が進むという事があれば、見え方は変わります。子どもの成長期には近視が進みやすいので、レーシックをした後にまた、近視が進行する確率が高いのでこれは避けるべきでしょうという一般論が多いです。そうなると、老眼世代の場合もレーシック後に老眼が進行するのでやはり変化が出てきます。

しかし、これ以上に考えて欲しい点は「白内障」「緑内障」「網膜疾患」などを含めた他の眼病です。レーシックは角膜を削り、光の屈折を変えて網膜上に焦点が合うようにするものですが、いくら角膜の屈折率をレーシックで変えても、例えば「白内障」で水晶体が白く濁っていたら見え方の改善にはなりません。「緑内障」で視野が欠けているのであれば、それが治るわけでもありません。その他の病気が原因で見え方が改善しないということがあるのです。老齢とともに、目の病気も発症しやすくなりますし、白内障なんて全員なると言ってもいいでしょう。

そうすると、老眼世代の方がレーシックをしてメリットの方が増えるとは言えないのが現状ではないでしょうか。

レーシックは近視の進行が落ち着いてから。

レーシックはわずか30分程で近眼が治せるという画期的な手術です。日本でも年々この手術症例が増加し、価格的にも安いところでは20万程度と一般市民のA子でも出せない価格ではなくなってきました。術後の生活は、起床時にすぐさま物が見えるという素晴らしい視界を手に入れることができます。医学もどんどん進んでいきますね。

しかし、一つ考えていただきたいのはそのリスクです。「レーシックをしたのに見えにくくなってきた。」これが患者様から相談を受ける残念な症状のひとつです。折角、近視を治す手術をしたのに手術後にまた近視の度が進んでしまったというパターンです。何のための手術だったのかと、本末転倒となります。

一般的に近視の進行は成長期をすぎた20歳くらいを目安に変動がなくなることが多いようですが、その後いっさい視力変動がないとは限りません。大人になってから視力低下が起こる人もいます。

レーシック後は角膜の形状が術前とは変形しています。眼鏡はともかく、コンタクトレンズを装着すること自体が困難になる場合が多いです。(数多く見てきましたが、レーシック後に再度コンタクトレンズを着けられた方はごくわずかです。)これ以外にも術後の感染症などでニュースになった事件もありました。目は一生使用していくものですので、手術をする前によくメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。