色覚異常(しきかくいじょう)
色覚異常
「視力」「視野」そして「色覚」により、人間は物を見るという機能が働きます。視細胞の機能が色を判別しにくい状態があり、それを色覚異常と呼んでいます。
※色覚異常検査器具
【色覚検査用具】
※石原色覚検査表・・色覚異常のスクリーニングをします。
※パネルD-15テスト・・色覚異常のタイプを調べます。
色覚異常の原因とその症状
●先天性の場合
原因は遺伝的なもので、両目とも異常の程度に差異がありません。生まれながらにしてこの見え方のため、他の人の見え方と違うという自覚症状はありません。そのため検査や指摘を受けない限り発覚することはあまりありません。色覚以外の視機能は、正常なケースが多いです。
日本人男性の5%(20人に1人)に起きている症状です。
●後天性の場合
眼疾患の1つとして起こり、左右で異常の程度に差が開きます。色覚異常が起きた原因により、改善や悪化が見られます。また、視力や視野にも異常をきたすケースがあります。
今までと見え方が違う(色覚に異常が出た)という自覚症状があります。後天性の場合、異常をきたす薬物等を中止したりと原因をとり除けば、改善されます。
色覚異常の検査と学校
現在の大人であれば、子供の時に小学校で受けた健康診断には色覚検査が必須項目であったはずです。しかし、平成14年の学校保健法施行規則一部改正の通知において、見え方の違いにおける差別やいじめ等が問題視されたようで、色覚検査が必須項目から削除されました。そのため、色覚異常に気が付かないまま成長してしまった子供も多く存在する事となりました。その後、平成26年4月に文部科学省から学校保健安全法施行規則の一部改正等についての通知が発出され、希望者には色覚検査が学校で適切に行われるようになりました。
一度学校健診の必須項目から色覚検査が外されたにも関わらず、再度受けられるようになったのは何故なのでしょうか?
理由は子供たちの将来が大きく変わってしまう(不利益になる)からなのです。子供たちが大きくなったらなりたい職業には「航空機のパイロット」「鉄道運転士」「船舶航海士」などが含まれ、それらに向かって学業に励む訳です。しかしながら、自分が色覚異常とも知らずに、パイロットの適正試験を受けたら適正がないという診断が下ります。航空学校への進学を考えている子が、いきなりこの現実を突きつけられたら大変ショックを受けるのは火を見るよりも明らかです。鉄道の駅員さんになりたいといっても、鉄道路線図は路線が色分けによって示されていて、大変識別しにくいものになります。また、魚屋さんになりたいといっても新鮮な魚の色艶を見極めるのは困難ですし、電気関連の仕事でもランプの赤色が点灯しているのか消灯しているのが気が付きにくいと考えられます。
先天性の色覚異常は遺伝が原因となりますから、親族に色覚異常の方がいるのであれば早期に検査を受けるようにします。色覚についての考え方は様々あるとは思われますが、今後の生活を考える上では自身の状態を知ることは必要不可欠です。
もし、先天性色覚異常と診断されたら?
残念ながら現在の医学では、先天性色覚異常の治療法はありません。皆とは少し違った感じに世界を見ていて、何も劣ることはないとポジティブに生活することが眼科医からアドバイスされるでしょう。見える色味の認識こそは違いますが、車の免許を取得することもできます。
色覚異常を診断された後は、意識していると誤認する癖がわかってくることがほとんどです。どういった時に注意すべきかというのを自身のパータンで予め予測することも大切です。
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