糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)

糖尿病網膜症とは

 内科的疾患、糖尿病による3大合併症(神経障害・腎障害・網膜症)の1つです。糖尿病網膜症は10年以上かけて少しずつ進行し、最悪のケースでは失明となる病気です。
 そもそも糖尿病網膜症を引き起こしている原因の「糖尿病」とは、血液中のブドウ糖の濃度(いわゆる血糖値)が高くなる病気です。通常であれば、血液中のブドウ糖の濃度は膵臓から分泌されるインスリンにより、食事で摂取した糖分がエネルギーに変えられて正常範囲が保たれます。しかし、糖尿病にかかるとこの膵臓から分泌されるべきインスリンが足りず、血液中に過剰な糖分が残ってしまいます。(糖尿病には2タイプあり、インスリンが生まれつき分泌されない1型と、生活習慣の乱れや肥満等が原因で起きる2型に分類されます。日本におけるほとんどのケースが2型に分類されます。)
 エネルギーに変わらず血中に残った糖分がどれだけあるのか?初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。自覚症状として異常に感じられるようになる(異常な喉の乾きや頻尿などの症状が出る)には、かなり血糖値が上がってきているときです。自覚症状がなければ自分が糖尿病であるなんて思いませんから、水面下で少しずつ高血糖における障害が起き、血管やら多くの臓器が蝕まれていきます。
 目の奥(眼底)には血管があります。高血糖のため痛んだ目の血管が破れ出血が起こります。これが糖尿病網膜症です。

糖尿病網膜症の症状


※傷ついた毛細血管※

 糖尿病にかかり高血糖が続くと、眼底出血に至ります。出血を止めるための飲み薬が処方されますが、これは一時的な処置です。糖尿病そのものをコントロールしていかないと再発を繰り返すことになります。
 糖尿病と診断されると、一生糖尿病とお付き合いして生活をすることになります。治ることはありません。しかし、糖尿病のコントロールを続けていれば、糖尿病でない人と全くかわらない日常を送ることができます。

糖尿病と診断された後の生活

 ここでは、2型のケースについて説明します。糖尿病患者さんの約4割に、網膜症が起きていると言われています。自覚症状がないため、糖尿病と診断されたら眼科で眼底検査を定期的に受けることが必要となります。血糖値が高い状態が続けば続くほど、網膜症のリスクは高まります。時間をかけて進行しますので、放置しておくと、ある日突然「目が見えなくなった!」「目の前が真っ暗になった!」と驚いてしまうこともあります。このような事にならないよう自身の生活習慣を見直します。
 まずは日常の食事です。量は腹八分目を目安にします。食べ過ぎても少なすぎても好ましくありません。そしてバランスよく、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを摂取します。味付けはなるべく薄めにして特に塩分の取りすぎにならないよう気を付けます。食物繊維も野菜や海藻類に多く含まれますので、積極的に摂取していきます。もちろん、大好きなお肉やお菓子を絶対に食べてはならない訳ではありません。しかし、食べる量を考えるということが必要不可欠になります。
 続いて、適度な運動です。毎日続けることが一番重要で、数日だけ激しい運動をしても効果的ではありません。毎日続けられる程度の事、ウオーキングなど比較的軽めのものからスタートします。摂取したエネルギーを消費する目的と、自然な免疫力をつけることが目的です。糖尿病にかかると単なる風邪であっても、免疫力が低下してしまうことにより重症化しやすくなります。

糖尿病にならないようにするには

 ここではあえて糖尿病になりやすいリスクを考えてみます。糖尿病になる原因として挙げられているものは「年齢」「遺伝」「肥満」「高血圧」「喫煙」「飲酒」などがあります。年齢や遺伝的要素についてはどうにもならない部分ですが、肥満・高血圧・喫煙・飲酒については生活習慣を見直すことによって改善できる部分です。「糖尿病と診断された後の生活」でも取り上げました規則正しいバランスのとれた食生活がやはり重要になってくるのです。

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