ものもらい
ものもらいとは
まぶたの一部が炎症により赤く腫れたり腫瘤ができる病気です。一般的な総称として「ものもらい」と呼ばれています。地域によっても「めばちこ」「めんぼ」等と呼び名が異なります。
眼科の診療においては腫れを起こした原因により、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)・霰粒腫(さんりゅうしゅ)と分類されます。
一般的に「ものもらい」と認識される症状はこの麦粒腫にあたります。まつ毛の根元部分やまぶたの縁の部分にあるマイボーム腺(眼球表面に必要な油分を分泌するところ)に、細菌が感染して起きる病気です。原因のほとんどが黄色ブドウ球菌によるものです。炎症が起きると赤く腫れ、ジンジンするように痛みます。まばたきをするだけでも痛みを感じます。他人から見てもかなりぷっくりと赤く腫れて痛そうに見えます。疲れていたり、風邪を引いて免疫力が弱くなっていると発症しやすくなります。
まぶたにあるマイボーム腺が分泌物によって詰まることにより、腫瘤(小さなこぶのようなかたまり、しこり)ができる病気です。まぶたがゴロゴロして違和感がありますが、痛みはありません。経過途中に急性的な炎症を起こすと腫れて痛みが出てきます。
小さなものは自然に吸収されて治ることもありますが、大きなものは切開して取り除かなくてはなりません。
ものもらいの治療と予防
病状によって異なりますが、比較的軽度であれば点眼薬や眼軟膏といった外用薬で様子見ることが多いです。腫れが酷く痛み等を伴う場合は、抗生物質や炎症止めの飲み薬を服用することもあります。重症の場合は切開をして、膿を出さないといけません。また、痛みや腫れが引いても「しこり」だけが残る場合もあります。自然吸収を待つ場合は数カ月かかる事もあります。
雑菌が入らないように、なるべく目の周りを手で触れる事は避けます。また、疲れがたまっていたり風邪を引いているときは免疫力が落ちるため、普段は悪さをしない弱い菌でも炎症を起こす原因になります。再発を繰り返すような場合は、十分な栄養と睡眠をとる事も大切です。マイボーム腺が詰まる霰粒腫のケースでは、目を温める事が効果的です。ホットアイマスクや蒸しタオルを目の上に置いて脂線を詰まらせないようにします。
ものもらいの治療中に気を付ける事
ものもらいによる腫れは一日でも早くひいてほしいものです。日常生活において、点眼加療等に加えてできる事を挙げてみます。
(1)むやみに目の周りを触らない、アイメイク等は控える
(2)洗顔後は清潔なタオルを使用する
(3)前髪が患部や目に触れない様、短く切るかピン留めなどで工夫する
(4)十分な栄養と睡眠をとる
(5)コンタクトレンズ使用者はメガネに切り替える
(6)薬の効果を阻害されないようにアルコールの摂取を控える
日常の些細な事でも気を配ると、治療の効果を高めることが出来ます。
市販薬を使い続けても平気か?
軽度の腫れの場合、市販薬を使って様子を見るという判断をされる方も多く見受けられます。霰粒腫であれば気が付いたときには自然吸収されて治っているということもあります。ただし、一時的に市販薬を使用するのは問題ない範囲ではありますが、症状が長引く場合は薬の効能が適していない場合もありますし、自己判断でものもらいと思っていたが実は違う病気であることも想定されます。
市販薬を使用した場合、顕著な点眼の効果がなければ使用を中止して眼科医の診断を仰ぐようにします。
勘違いされやすい”ものもらい”
名前が「ものもらい」とあるため、他人にうつる病気にだと勘違いされることもあるのですが、ものもらいは人にはうつりません。
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